特集 2026年2月6日

生八つ橋を生じゃなくする

生八つ橋。

どこが生なんだか生じゃないんだか、よくわからなくないですか?

たしかに、パッと見では火が通ってないようには見えます。

でも、あんな綺麗な皮になる前段階には「練った米粉」の状態があるわけで、かなり「加工後」でもありますよね?

そこで私は思いました。もし本当に生だというのなら、そこからさらに加工して発展させることもできるのでは、と。

というわけで、生なんだか生じゃないんだかよく分からないお菓子を、はっきりと生じゃなくして新しい可能性を探っていきましょう!

アラサーながらも下顎にまだ乳歯が残っており、我が子のように甘やかしている。クイズ、毒、生き物、ホラー、検証企画が好き。


> 個人サイト note X

さっそく、キッチンスタジオにやって参りました。

image_s004.png

ここで生八つ橋を様々な方法で調理し、生じゃなくしていきます

それが今回の企画の目的になります。

image_s005.png
京都のお土産に買ってきた「聖護院八つ橋」を使用
いったん広告です

生(き)

まずはこちらの生(なま)八つ橋を生(き)でいただきます。
生じゃない状態の生八つ橋を評価するには、生の状態の味も確かめておかねばなりませんからね。

image_s006.png

image_s007.png

image_s008.png

image_s009.png

もうこれでいいんじゃね……?

もう完成されてるじゃん。
あんこの甘さも、シナモンの香りも完璧だよ。
あんことシナモンを完璧にするための皮じゃん。

これに手を加えたら、このバランスが崩れるんだよ?

image_s010.png

まぁ、たしかに? それを疑わないと、新たな可能性なんて広がらないけどさ。わかってるよ? 企画の趣旨の全否定だって。
でもさぁ……。

image_s002.png
これより上があるとは思えない

まぁ、スタジオのレンタル料もタダじゃなかったし?
ちょっとだけ、ちょっとだけだよ? まぁ、やってみないとわかんないとこもあるのはわかるからさ。

いったん広告です

焼き

image_s011.png
てなわけで、まず「焼き」に挑戦

無論、生八つ橋には「その先」のレシピなど存在しませんので、探り探りで火を通していくことになります。

image_s012.png

そして私は野菜炒めにすらクックパッドを必要とする超絶料理初心者。
焼き色などで具合を判断する勘は少しも備わっていません。

image_s013.png
フライパンの底に皮が引っ付くことすら予想できていない

ひっくり返すときに1度、皿に移すのにもう1度やけどをしながらも、やっとこさ「焼き」処理が完了。
完成品がこちらになります。

image_s014.png
大丈夫……?

見た目は胞子を吹き終えたキノコのような有様になってしまいましたが、想像以上に甘くて香ばしい匂いがただよっています。
それでは、一口……。

image_s015.png

image_s016.png

おっ……?

いけるじゃん……!
それに、焼いた意味がある!

焼いたおかげで皮がしっかりしてちゃんと焼き菓子らしさが出ているうえ、シナモンの持ち味も損なわれていない!

あんこがややくどく感じるところもあるがおおむね……。

image_s017.png
いい感じ!

私の技術の将来性も加味して100点満点中 
75点
とさせて下さい。

なんだなんだ、どうせ生のままが一番だろうと不安になっていましたが、意外といけそうじゃないですか。

今日用意した「調理法」はまだまだあります。
どんどん試していって、真に「生よりも美味い」八つ橋を探していきましょう。

いったん広告です

炙り

image_s018.png

次は「炙り」に挑戦です。
料理経験が浅すぎる僕がバーナーなんて持つと危険極まりないので、ここはダイソーで買った強いアウトドア用ライターで代用します。

image_s019.png

さぁ、しめ鯖に焼き色をつけるみたいに、大胆にやっていきましょう。

image_s020.png

image_s021.png
……変わった?

だいぶ目前で火はぶつけたので大丈夫でしょう。
仮に火が通ってなかったとしても、生八つ橋は生で食べられます。

image_s022.png
ふむ……
image_s023.png
あ~、これ同じだ

味もほとんど変わりません
皮の表面を炙っただけでは食感もちょっと固くなっただけにとどまってしまいましたね。

生八つ橋としての殻を破るには、もっと大なたを振るう必要があるのでしょう。
こちらは
45点
といたします。

じゃあ、どんどんやっていきましょう。

いったん広告です

蒸し

今度は「蒸し」に挑戦します。

image_s024.png
フライパンに底が厚い器をひっくり返し
image_s025.png
その上に皿をおいて八つ橋をセット

これならば蒸し器がなくてもしっかり蒸すことができるはずですが、どうでしょうか?

image_s026.png
おっ
image_s027.png
良い感じじゃない? どれどれ……

えっ……!?

image_s028.png
ビショビショじゃない!?

蓋の水滴が落ちてきてしまったのでしょうか。
でもまぁ、しっかり火は通ってそうですから、肝心なのは味です。

image_s029.png
味は……やるやん!

中々に美味しいです。
皮がよりもっちりに、あんこもホクホクして甘みが際立っています。
ごま団子みたいなジャンルに近づいた感じですかね。
80点』!!

いったん広告です

炒め

次は「炒め」です。

image_s030.png
さっきの「焼き」のフライパンに油を入れる

カス料理人の私は、油の量や温度の調節に全く気が回らないまま、フライパン上の八つ橋を炒め上げます。

image_s031.png
過程はよかったけど……
image_s032.png
できあがりはテラッテラやんけ

気になるお味は……?

image_s033.png
まぁまぁ!

焼きとあんまり変わらないですが、シナモンが油と一緒に流れちゃってます。
脂味は思いのほかクドくなく美味しく感じましたが、新規性はないかな……。

というわけで
65点
とさせていただきます。

茹で

次は「茹で」

蒸しでは不本意にビシャビシャにしてしまいましたが、今度はしっかりと湯に沈めていきます。

image_s034.png

なんか時間がたつと表面の薄皮?のようなものが浮き出してきました。

おそらく、粉がまぶされて乾燥していた皮の表層が、茹でたことではがれてしまったのでしょう。
あまりいい光景ではありません。

image_s035.png

しばらくして煮立ったら箸で引き上げます。

image_s036.png
つきだしで出たのにちょっとだけ手をつけられて終盤まで残った刺身こんにゃく?

またしても最悪の見た目ではありますが、正直そこは私のスキルの問題です。
何度も言っていますが問題は味。いざ実食です!

image_s037.png
あれ?
image_s038.png
マジ!?!?

めっっっっっっちゃ美味い!!!!

ぶっちゃけ、生(き)の生八つ橋より好きというか、完全に別の立ち位置を確立したお菓子になっています。

この皮の食感と風味、なんて表現したらいいんですかね。
スーパーとかで売ってるまっ透明なわらび餅あるじゃないですか?
あのほのかな甘さに近いっていうか。

湯で完全に流れると思っていたシナモンの味わいも、皮によって良い具合に保持されていて、絶妙なアクセントになっています。

湯に漬けたことによるあっさり感も、八つ橋を食べまくって血糖値が上昇してきた私のお腹にとても優しくてGOOD!

image_s039.png
ガツガツいけちゃう

これは聖護院八つ橋さんも商品化できるんじゃないですか?
店舗メニューとかで出してさ、ほうじ茶といっしょにいただくのよ。

まさかの大躍進。これは文句なしの
100点
でしょう。

揚げ

最後に残った調理法は「揚げ」です。

今までのものより手間がかかる分味の予想がつかないのはもちろん、家庭科の調理実習でお吸い物のみを作らされていた過去をもつ料理下手の私にとっては、あまりに危険なチャレンジです。
5年ぶりの運転で高速道路の合流をするぐらいには危険です。

火事にだけは気をつけて参りましょう。

image_s040.png
卵を割り……
image_s041.png
とき……
image_s042.png
衣をつけ……
image_s043.png
揚げるっ!

お~~~~!
本当にいい音で揚がっていきます。面構えはしっかり揚げ物ですね。

image_s044.png

ここにきて、一番見た目がいい「生じゃない」八つ橋の完成です。
ハモのフライみたいですね。

image_s045.png
というわけで実食……!

image_s046.png

image_s047.png
うまいっ!!

これはかなりの傑作です!

全体的に火が通って甘さのまとまり自体は「焼き」に近いのですが、秀逸なのは芳香と舌触り

衣があることによってシナモン臭が閉じ込められ、噛むと口の中に広がっていきます。
そして衣のサクサク感は生(き)の八つ橋ではとうてい考えられない楽しさ。

牡蠣フライ食感の揚げまんじゅうといった趣で、とても美味しく仕上がりました。

これも満点……といきたいところですが、味付けの部分で改良の余地がありそうなので、期待もこめて
90点
をつけさせていただきます!


てな感じで、生八つ橋をひたすら生じゃなくしていきましたが、新しい可能性を大いに開拓することができました。

各種調理法の点数も、予想していたよりもずっと高く出ています!

gr.png

特に「茹で」に関しては「煮わらび餅」みたいな新ジャンルの開拓を予想させる味わいでしたね。

これだけ発展の余地があるということは、やはり生八つ橋は正真正銘「生」の食べ物なのでしょう。

ひとまず私は、爆上がりした血糖値を抑えるためにそこらを走ってきます。

image_s048.png
あれだけ食べたら頭いてぇ

皆様も、ぜひ生じゃない八つ橋の可能性について検討してみてください。
血糖値スパイクにはくれぐれもご注意を。
1箱丸々食べたら、体の中で八つ橋が毒に転じる感覚が分かりますよ。

それでは。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
こちら月刊新人賞の優秀作品です。
シャカ夫さんはいつも惜しい作品を送ってきていて、直接編集したいなと思っていたのですが、今回はスカッとテーマ選び・展開・言い回し・表情が決まった作品を送ってきてくれました。文句なしの掲載です。
「もうこれでいいんじゃね?」という素直な感想から始まって、ぐだぐだで終わるのかと思ったら後半で成功する流れもきれい。話し言葉に近い文章もデイリーにない読みやすさで嬉しいです。(林)

▽デイリーポータルZトップへ

記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください

デイリーポータルZ 感想・応援フォーム

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」が届きます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ